風来のシレンシリーズといえば、1000回遊べるRPGでおなじみですが、逆を言えばそれだけ何度も冒険に失敗してしまう作品でもあります。どんな上級者にも数多くの失敗談があり、それが結果としてシレンの魅力の一翼を担うまでになっているのかなぁと。
多くの場合、自分はこんなことができる、こんな短時間でクリアした、などという主張が基本になります。しかし、シレンユーザは「自分、こんなやられ方した!」「あれさえなければ、あれさえなければ・・・!」といった失敗について熱く語りたがるくせがあり、おそらくは私もその1人です。
まあそれもこれも、入る度にダンジョンの構成が変わる不思議のダンジョンという仕様があればこそ。アイテムは最高に充実してても、食料が全然なく、くさったおにぎりで必死に飢えをしのぐこともあれば、アイテム不足を限られた所持品で泥棒することで補うこともあれば、お金はあるけど店がまったくでないこともある。その絶妙なバランス感覚によってもたらされた失敗はまさしく自分だけのものですから、自然とその話しが話題になるわけです。
メーカー側もそれをよく理解しているようで、ゲーム内の足跡には特定の条件下で冒険に失敗した、という項目がそこそこ出てきたりもしますし、公式サイトで死に際のエピソードに触れることもあります。
もちろん、そうやって繰り返した失敗の先で得たクリアの達成感もひとしおなのですが、シレンならではの面白さという意味でいうなら、美しき死に際に勝るものはないんじゃないかと。